手足口病とは?
手足口病(てあしくちびょう)は、コクサッキーウイルスやエンテロウイルスに感染することで発症し、体の手、足裏、口の中に痛みやかゆみのある発疹や水泡ができることから、その名前が付けられています。
夏から秋にかけて流行することが多いウイルス感染症で、発症者の9割近くが5歳以下の子供と言われていますが、子供の看病をする大人も発症することがあります。
多くは軽度の症状で治まり、1週間ほどで自然に軽快する病気です。しかし、まれに脳炎や髄膜炎などの重篤な合併症を引き起こすこともあるため、軽症であっても早めにクリニックを受診しましょう。
こんな症状はありませんか?
- 38℃前後の発熱
- かゆみや痛みを伴う全身の発疹
- 足裏や口内、舌の水疱
- 食欲不振
- 全身のだるさ
など
手足口病に感染すると、このような症状が現れるため足裏や口の中の痛みによって歩きづらさや、食べ物を飲み込みづらくなることがあります。また感染者のうち3割ほどは発熱を伴いますが、38℃以下であることが多いです。
まれにウイルスが血液によって脳へ運ばれると、脳炎や髄膜炎といった重篤な合併症を引き起こすことがあります。声をかけても返事や反応がないなどの意識障害がある際は、ただちに救急搬送の依頼をしましょう。
手足口病の原因
手足口病は、主にコクサッキーウイルスやエンテロウイルスへの感染が原因で、6日ほどの潜伏期間を経て発症します。
これらのウイルスは、主に飛沫感染と接触感染によって広がります。例えば感染者の咳やくしゃみ、唾液、または感染者の体液などに汚染された手や食器、ドアノブ等を介して感染が広がります。また糞便を通じても感染(糞便経口感染)が広がることがあるため、感染者の排泄物に近い環境にいた場合は、手洗いとうがいを徹底することが重要です。
手足口病の検査
手足口病は、特徴的な症状があるため、多くは特別な検査をせずに診断可能です。具体的には症状の視診、感染流行時期、周囲の感染者の有無などを総合的に考慮して、診断します。
しかし重篤な合併症を発症しているなどのケースや、ウイルスの特定が必要な場合に下記の検査を行うことがあります。
血液検査
ウイルスに対する抗体(病原体を攻撃するたんぱく質)の有無を調べます。数時間で検査結果が出るため、診断を急ぐ場合に効果的な方法です。
ウイルス検査
水疱の内容液、咽頭からの拭い液や便を採取し、ウイルスの有無を調べます。
手足口病の治療方法
手足口病の原因であるエンテロウイルスに対する特効薬がないため、主につらい症状を軽減する対症療法に重点を置きます。
薬物療法
発熱や発疹などの痛みに対しては解熱鎮痛剤を使用します。ただし発熱している時点でウイルスが増殖しにくい体内環境になっているため、熱があっても安静に過ごせる場合は無理に解熱する必要がないこともあります。
他には、痛みやかゆみを伴う発疹に対して抗ヒスタミン薬の塗り薬を使用します。また食事や水分を十分に摂れず脱水になっている場合に、点滴投与を行うことがあります。
食事療法
口腔内に水ぶくれや潰瘍があることで食事や水分が摂りづらくなりますが、脱水状態や体力消耗を防ぐためにも、こまめな食事と水分を摂りましょう。
例えば下記のような食べ物は、口腔内へ負担をかけずにお食事していただけます。
- うどん
- おかゆ
- ぬるめのスープ
- 牛乳やヨーグルト
- 麦茶
- ゼリーやプリン
など
手足口病の感染予防対策
手足口病はウイルスの型が複数あるため、繰り返し感染することや周囲の人へ感染を広げることもあります。流行する時期は特に、感染予防対策を欠かさず行いましょう。
- 流水と石鹸で手洗いをする
- うがいをする
- マスクを装着する
- 定期的に自宅を掃除する
- 次亜塩素酸ナトリウムの水溶液で消毒する
など
他にも個室での療養や、感染者が触れた物に直接触れないよう手袋の装着が必要なこともあります。
また手足口病のウイルスはアルコール消毒が効きにくいため、掃除する際には次亜塩素酸ナトリウムの水溶液を使いましょう。ドアノブや食器、おもちゃを消毒し、清潔に保つことで、自宅内で感染が広がらないように気をつけることが肝心です。
登園・登校の再開について
手足口病は、学校保健安全法で第3種学校伝染病に分類されており「発熱や喉頭・口腔の水疱・潰瘍を伴う急性期は出席停止、全身状態が改善すれば登校可」と定められています。
この指定をもとに、学校によっては独自のルールを定めていることがあるため、あらかじめ確認しておきましょう。
当院では下記を目安に、お子様の症状や様子を見ながら登園登校の再開を検討します。
- 解熱して1日以上が経過した
- 手足口の症状が治まっている
など
ただし、手足口病の症状が治まったあとも4週間程度は便や唾液などへウイルスが排出されるので、他の子供へ感染することがあります。
もし登校を再開するにあたり症状の判断など、今後の過ごし方に困った時は、天王寺・桃谷のじゅんあかちゃんこどもクリニックへご相談ください。