プール熱(アデノウイルス感染症)とは?
プール熱(アデノウイルス感染症)いわゆる咽頭結膜炎は、アデノウイルスによって引き起こされる感染症です。名前に「プール熱」とあるように、プールの水やタオルの共有を介して広がることが多く、この名前がついています。
この病気は、6月から8月にかけて流行し、5歳以下の子供へ感染することが多いです。感染後は3~5日ほどで自然に回復し、後遺症もほぼありませんが、新生児は重症化し肺炎になることがあります。またアデノウイルスは感染力が強いため、活動距離が近い子供たちの間で流行を引き起こすことがあります。
こんな症状はありませんか?
- 39~40℃の高熱が5日間ほど続いている
- 1日の間に高熱と37~38℃前後の微熱を行ったり来たりする
- 喉の痛みや腫れがある
- 耳や首のリンパが腫れる
- 白目(結膜)の充血、目やにがある
- 頭痛がある
- 腹痛や下痢がある
など
プール熱(アデノウイルス感染症)の原因
プール熱は約70種類発見されているアデノウイルスのうち、3型、4型、7型が人へ感染し発症します。
主に飛沫感染と接触感染によって人から人へ感染が広がり、プールの水やお風呂場で使用するタオルに触れた目や鼻からウイルスが侵入し感染するのが特徴的です。
感染してから症状が出るまでの潜伏期間は約5日~7日あり、その間に強い感染力によって周囲へ感染が広がっていきます。
プール熱(アデノウイルス感染症)の検査
プール熱は典型的な症状があるため、症状の視診と問診によって診断可能です。より詳細な診断が必要な時は、下記の検査を行います。
拭い液検査
口腔内の分泌物やまぶたの粘膜にアデノウイルスが含まれているかどうかを判定します。検体は、綿棒で口腔粘膜やまぶたの裏を擦って採取します。
検査キットを使用し15~30分ほどで結果が出るため、受診した即日にプール熱に感染しているか否かを判定することが可能です。
ただし、検査の時期によってはウイルスの量が少なかったり、検体量を十分に採取できなかったりすると、正しい検査結果が得られないこともあります。
その場合は、下記の検査を行うことがあります。
血液検査
この検査は、血液中のアデノウイルス抗体を調べ、ウイルスに対して免疫機能が働いているかどうかを判定します。
アデノウイルス抗体が見つかれば、感染後の免疫機能が働いている証拠として確定診断となります。
遺伝子検査(PCR)
この検査は、重症化している際にアデノウイルスの遺伝子を調べ、どの型に感染しているかを特定することができます。
しかしプール熱は多くのケースにおいて軽症で済むため、遺伝子検査を行う頻度は少ないです。
プール熱(アデノウイルス感染症)の治療方法
プール熱を含むアデノウイルス感染症に対する特効薬がないため、主に症状のつらさを軽減する対症療法を行います。
痛みや発熱の管理
発熱や痛みのつらさがある場合は、解熱鎮痛剤(アセトアミノフェンやイブプロフェンなど)を使用して、症状を軽減します。
また発熱によって脱水状態を伴うことがあるため、適切な水分補給が重要です。水やスポーツドリンクなどをこまめに摂取しましょう。
結膜炎の症状の管理
結膜炎によって目やに、目のかゆみや異物感がある際は、非ステロイド性抗炎症作用がある点眼薬や抗菌薬を使用することがあります。
もし目やにがひどく目を開けられない場合は、清潔な冷たいタオルや柔らかいガーゼを使って、目頭から目尻の方向へ優しく押し当てるように拭き取りましょう。
使用したタオルやガーゼは、感染を広げないためにビニール袋などへ密閉して捨ててください。
プール熱(アデノウイルス感染症)の感染予防対策
プール熱の感染予防対策として、下記のような方法があります。
- 感染者と日用品や食器を分けて使う
- 洗濯物を分けて行う
- 感染者との接触を避ける
- 手洗い、手指消毒、うがいを徹底する
- 自宅の共用部は定期的に次亜塩素酸水溶液で消毒する
など
ご自宅での感染予防対策についてお困りの際は、当院へご相談ください。
登園・登校の再開について
アデノウイルス感染症は、学校保健安全法において第2種感染症に分類されており「症状が治まってから2日以上経つまでは出席停止期間」と定められています。
この指定をもとに、学校によっては独自ルールを定めているところもあるため、あらかじめ確認しておきましょう。
当院では、当院では下記を目安に、お子様の症状や様子を見ながら登園登校の再開を検討します。
- 嘔吐や下痢などの症状が治まっている
- 食事を摂れている
- 症状が治まってから48時間以上経っている
など
もし登園・登校を再開するにあたり症状の判断など、今後の過ごし方に困った時は天王寺・桃谷のじゅんあかちゃんこどもクリニックへご相談ください。